Adobe Commerce / Magento Open Source 2.4.5 がリリースされました

2.4.4のリリースから約4ヶ月、予告どおりに最新バージョンとなる2.4.5がリリースされました。

リリースノート

同時に以下のパッチ適用バージョンもリリースされています。

  • 2.4.4-p1
  • 2.4.3-p2
  • 2.3.7-p4

今回のリリースで注意するべき点は、

  • 2.3系は今回が最終リリース

という点です。PHP8.1に対応していない2.4.0〜2.4.3については、2.4.3-p1が最終となります。

Upcoming Release

にあるとおり、次回のリリースでは2.4.5に対するセキュリティ修正版のみが提供される予定です。

2.4.5のハイライト

Adobe Commerce / Magento Open Source 2.4.5に共通するハイライトは以下のとおりです。

  • Composerのバージョン変更
  • Google Analytics連携の仕様変更

Adobe Commerce 2.4.5限定の変更点は以下のとおりです。

  • 規約同意にAdobe Signを利用可能
  • Adobe IMSとの認証連携
  • 管理画面の色調変更

その他多くの不具合修正や仕様変更が含まれていますが、今回は特に「Google Analytics連携の仕様変更」について取り上げたいと思います。

Google Analytics連携の仕様変更

Adobe Commerce / Magento Open Source 2.4.5ではGoogle Analytics連携に仕様変更が行われました。
エディションによって内容が異なるので、それぞれ分けて解説したいと思います。

Magento Open SourceとGTM

Magento Open Sourceの場合、GTM連携は標準のコードには含まれてきませんでした。
GTMと連携させたい場合は、サードパーティ製エクステンションを利用する形が一般的だったわけです。
UA連携についてはGTM経由ではなく計測タグを直接Magentoが出力する形(GTM登場以前からある方式)となっており、この実装を拡張する形でのエクステンションなどが各種リリースされてきました。

2.4.5でGTM連携が追加

そしてついに2.4.5で新たに「Magento_GoogleGtag」という新しいモジュールが追加されました。
このモジュールは既存のUA連携とは別に、Magento Open Source自体にGTMタグの出力ができる機能を提供するものです。

このMagento_GoogleGtagモジュールは、

  • Google UniversalAnalytics
  • Google Adwords

に対応したものとなっており、これまで付属してきた

  • Magento_GoogleAdwords
  • Magento_GoogleAnalytics

モジュールの計測機能をGTMに統合するものです。
両モジュールとも2.4.5では引き続き利用が可能ですが、Magento_GoogleGtag経由で計測をされるのであれば、従来のモジュールはオフにするほうが良いでしょう。

Adobe CommerceとGTM

Adobe Commerceの場合、以前からGTM連携用の機能が含まれています。
こちらの機能は「Magento_GoogleTagManager」というモジュール名となっています。
機能としては「Magento_GoogleGtag」よりも拡充されており、細かいイベントやデータレイヤーが定義されており、有償版らしい機能となっています。

また、「Magento_GoogleTagManager」が入っている環境では「Magento_GoogleGtag」は無効化されます。そもそもが重複している機能なので当然といえば当然ですね。

2.4.4以降へのアップデートが急務に

冒頭にも書きましたが、2.3系は今回リリースされた2.3.7-p4が最終バージョンとなります。
以後の不具合修正やセキュリティ修正は行われないため、2.4.4以降へのアップデートを急ぐ必要があります。

2.4.0〜2.4.3系の場合も同様で、2.4.4以降にアップデートする必要があります。

いずれにしても2022年の後半は

  • Adobe Commerce / Magento Open Source自体のアップデート
  • PHPのバージョンアップ

が同時に起こるため、カスタマイズの程度によっては非常に苦労されるサイトが多くでてくると思われます。

プラットフォームのアップデート以上に厄介なPHPバージョン変更

2.4.4で既にAdobe Commerce / Magento Open SourceはPHP8.1に公式に対応しています。
2022年12月でPHP7.4が正式にメンテナンス終了(EOL)となるため、厳格に公式メンテナンスが行われているバージョンのPHPを使うのであれば8.1系一択となります。
(PHP8.0にはAdobe Commerce / Magento Open Sourceは対応していません)

ところが、PHP7.4からPHP8.1への移行については以下のような問題が多発するリスクを抱えています。

  • 言語仕様変更に伴う、PHP組み込み関数の挙動変更
  • 変数のデータ型に起因するエラー

特にPHP組み込み関数の挙動変更は様々な局面で障害を引き起こします。
構文エラーとしてはIDE等で検出ができないため、動作させた際に引数の型が異なる(特にnull)ことが原因でエラーが発生します。
現在でもコア実装でPHP8.1に起因する不具合が報告されている状況ですので、PHP8.1に移行する際には入念に試験をする必要があります。

Adobe Commerce / Magento Open Sourceのアップデートに関するご支援承ります

弊社ではAdobe Commerce / Magento Open Sourceのアップデートに関する技術支援を有償サービスとして承っております。

  • アップデートをしなければならないが、何から手を付けてよいかわからない
  • カスタマイズを施しすぎたために手がつけられない

といった場合でも、ご相談をいただければ以下の作業を行った上でアップデートを実施いたします。

  • アップデートに伴う仕様変更等の影響調査
  • カスタマイズ箇所の動作試験
  • アップデートに伴う管理機能の変更点の説明

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