Adobe Commerce / Magento Open Source 2.4.8-p3 / 2.4.7-p8 / 2.4.6-p13 / 2.4.5-p15 / 2.4.4-p16がリリースされました

リリーススケジュール通り、Adobe Commerce / Magento Open Sourceのセキュリティリリースが行われました。
今回のリリースは2025年では5回目のリリースで、2025年中としては最終のリリースです。
Magento Open Source向けの2.4.4系と2.4.5系のメンテナンスはすでに終了しています。
そのため、2.4.4−p16と2.4.5-p15はAdobe Commerce専用のリリースとなります。

では、早速詳細を確認していくことにしましょう。

対象となるバージョン

2025年10月現在、Adobe Commerce / Magento Open Sourceのサポート対象となっているバージョン系統は、

  • 2.4.8
  • 2.4.7
  • 2.4.6

となっています。Magento Open Sourceの2.4.4系と2.4.5系はサポートが終了していますので、今回のリリースはありません。
Adobe Commerceの2.4.4系と2.4.5系に対してのみリリースが行われています。
そのため、今回のアップデートの対象バージョンは以下の通りです。

  • 2.4.8-p2
  • 2.4.7-p7以前の2.4.7系
  • 2.4.6-p12以前の2.4.6系
  • Adobe Commerce 2.4.5-p14以前の2.4.5系
  • Adobe Commerce 2.4.4-p15以前の2.4.4系

また、Adobe Commerce B2Bにおいては、

  • 1.5.2-p2以前
  • 1.4.2-p7以前
  • 1.3.5-p12以前
  • 1.3.4-p14以前
  • 1.3.3-p15以前

が明確に対象であると示されています。

アップデートの内容

Adobe Security Bulletinによると、今回のアップデートでは5件の脆弱性が修正されているようです。
件数は前回と同じですが、内容のレベルに差があります。
内訳としては、

  • Criticalが2件
  • Importantが3件

となっています。
このうちCVE-2025-54265について「攻撃に際して認証」が不要となっていますが、この脆弱性についての個別パッチはリリースされていません。
それ以外については、

  • 管理者権限
  • 攻撃に際して認証

の両方が必要となっているため、

  • 管理者アカウントの適切な管理
  • 二要素認証の導入
  • 管理画面へのアクセス制限

がなされていれば、緊急(72時間以内)の対応は必要ありません。

脆弱性の概要

今回のアップデートで、対象のバージョンに共通して修正された脆弱性としては、

  • Security feature bypass 
  • Privilege escalation
  • Arbitrary code execution

の3種類となっています。

なお、今回のアップデートは2025年9月にリリースされた、APSB25-88の修正が含まれています。

今回のリリースの緊急性について

Adobe Security Bulletinでは、緊急度を次の3段階に分けて示しています。

  • 緊急度1・・・最上位の緊急度。72時間以内に対処が必要。
  • 緊急度2・・・中位の緊急度。30日以内の対処を推奨。
  • 緊急度3・・・低位の緊急度。直ちに問題が起きることは考えにくいため、管理者の判断での適用が可能。

今回のリリースについては、

  • Adobe Commerce B2B・・・緊急度2
  • Adobe Commerce・・・緊急度2
  • Magento Open Source・・・緊急度2

となっています。
緊急パッチが出ていないので、通常のアップデートを30日以内を目処に行えば問題はありません。

今回のアップデートに伴う変更点

Adobe Commerce向けのリリースノートでは触れられていませんが、管理画面でコンテンツ編集時に使用しているWYSIWYGエディタのTinyMCEがHugeRTEに変更されています。
標準のまま使用するぶんには特に大きな影響はありませんが、サードパーティ製のエクステンションで拡張や改変を加えている場合は影響があるかもしれません。

そういった場合はエクステンション側のアップデートを待って対応を行えば問題ないでしょう。

まとめ

2025年最後のAdobe Commerce / Magento Open Sourceのアップデートは、緊急パッチを伴わない小規模なものとなりました。
変更点はさほど多くはありませんが、TinyMCEがHugeRTEに変更されている点は注意が必要です。

次回のアップデートは2026年2月の予定です。
しばらくアップデートリリースはありませんので、バージョンアップなどを進行するには良い時期と言えるでしょう。