Adobe Commerce / Magento Open Source 2.4.8-p2 / 2.4.7-p7 / 2.4.6-p12 / 2.4.5-p14 / 2.4.4-p15がリリースされました

リリーススケジュール通り、Adobe Commerce / Magento Open Sourceのセキュリティリリースが行われました。
今回のリリースは2025年では4回目のリリースです。
Magento Open Source向けの2.4.4 系のメンテナンスはすでに終了しており、2.4.5系は今回が最終となります。
そのため、2.4.4−p15はAdobe Commerce専用のリリースとなります。

では、早速詳細を確認していくことにしましょう。

対象となるバージョン

2025年8月現在、Adobe Commerce / Magento Open Sourceのサポート対象となっているバージョン系統は、

  • 2.4.8
  • 2.4.7
  • 2.4.6

となっています。Magento Open Sourceの2.4.4系は前回、2.4.5系は今回が最終リリースとなり、2.4.4系は今回のリリースはありません。
Adobe Commerceの2.4.4系に対してのみ、延長サポートとして2.4.4−p15がリリースされています。
そのため、今回のアップデートの対象バージョンは以下の通りです。

  • 2.4.8
  • 2.4.7-p5以前の2.4.7系
  • 2.4.6-p10以前の2.4.6系
  • 2.4.5-p13以前の2.4.5系
  • Adobe Commerce 2.4.4-p14以前の2.4.4系

また、Adobe Commerce B2Bにおいては、

  • 1.5.2-p1以前
  • 1.4.2-p6以前
  • 1.3.5-p11以前
  • 1.3.4-p13以前
  • 1.3.3-p14以前

が明確に対象であると示されています。

アップデートの内容

Adobe Security Bulletinによると、今回のアップデートでは6件の脆弱性が修正されているようです。
件数は前回と同じですが、内容のレベルに差があります。
内訳としては、

  • Criticalが4件
  • Importantが2件

となっています。
このうちCVE-2025-47110について「攻撃に際して認証」が不要となっていますが、DoS攻撃に対する対策不十分なので緊急パッチとしてのリリースはありません。
それ以外については、

  • 管理者権限
  • 攻撃に際して認証

の両方が必要となっているため、

  • 管理者アカウントの適切な管理
  • 二要素認証の導入
  • 管理画面へのアクセス制限

がなされていれば、緊急(72時間以内)の対応は必要ありません。

脆弱性の概要

今回のアップデートで、対象のバージョンに共通して修正された脆弱性としては、

  • Improper Input Validation 
  • Cross-Site Request Forgery
  • Incorrect Authorization
  • Stored Cross-site Scripting
  • Time-of-check Time-of-use (TOCTOU) Race Condition

の5種類となっています。

今回はTime-of-check Time-of-use Race Conditionが出ている点が珍しいと言えます。

今回のリリースの緊急性について

Adobe Security Bulletinでは、緊急度を次の3段階に分けて示しています。

  • 緊急度1・・・最上位の緊急度。72時間以内に対処が必要。
  • 緊急度2・・・中位の緊急度。30日以内の対処を推奨。
  • 緊急度3・・・低位の緊急度。直ちに問題が起きることは考えにくいため、管理者の判断での適用が可能。

今回のリリースについては、

  • Adobe Commerce B2B・・・緊急度2
  • Adobe Commerce・・・緊急度2
  • Magento Open Source・・・緊急度2

となっています。
緊急パッチが出ていないので、通常のアップデートを30日以内を目処に行えば問題はありません。

今回のアップデートに伴う変更点

Adobe Commerce向けのリリースノートでは、触れられていませんが、GraphQLにおけるaliasの数に制限が加えられています。
以前は制限がなかったのですが、今回のアップデートを適用すると、GraphQLでaliasが10個までにデフォルトで制限されるようになります。
aliasはフィールドを別名で取得する際に用いるものですが、この利用に制限がかかった形です。

GraphQLを利用していない場合には特に問題はありません。

まとめ

2025年4回目のAdobe Commerce / Magento Open Sourceのアップデートは、緊急パッチを伴わないものの、それなりの件数となりました。
変更点はさほど多くはありませんが、GraphQLのaliasに関する変更点は、ヘッドレス運用されているケースでは要注意です。

次回のアップデートは10月です。2025年最後のアップデートとなりますが、物販系のECにおけるピークシーズンを迎えるため、注意が必要です。