Adobe Commerce / Magento Open Source用Stripe公式連携エクステンション 3.5.0リリース

弊社ではAdobe Commerce / Magento Open Source用に日系の決済連携エクステンションをいくつか開発・販売していますが、それ以外にもStripeやAmazon Payの導入などもご提供しております。
StripeやAmazon Payなどの場合はサービス提供元が自らエクステンションを開発・メンテナンスしているため、弊社主体で開発をすることはありませんが、必要に応じて不具合報告などを行うようにしております。

さて、今回は弊社サイトでも利用しております「Stripe」のエクステンションがバージョン3.5.0にアップデートされ、機能強化されたことに伴うレビューをお届けしたいと思います。

Stripe公式の連携エクステンションの入手

Adobe Commerce / Magento Open Source用のStripe連携エクステンションは、

から入手できます。いずれもエクステンション自体は無料です。
インストール後の諸設定については、Stripe公式のドキュメントに詳しく書かれていますので、そちらをご覧ください。

Adobe Commerce公式のマーケットプレイスには公開前の審査が存在するため、Githubでのリリースよりも多少遅れることが通常です。
最新版をすぐに手に入れたい場合は、Githubプロジェクトの更新を購読するのが良いでしょう。

バージョン3.5.0の変更内容

今回のリリースでの変更点については、Github上に上がっているChangelogを読むのが最も正確です。
今回の場合であれば、注目すべきポイントとして、

  • 支払方法選択でアコーディオンUIが利用可能に
  • 注文受付時の処理として「与信取得のみ」「与信売上同時」に加えて「注文受付のみ」が追加
  • Raderスコアを管理画面の注文一覧に表示可能に
  • サブスクリプションの変更機能が追加
  • サブスクリプションの開始日指定や日割り計算機能が追加
  • キャンセルしたサブスクリプションを再開可能に

といったものが挙げられます(もちろん他にも色々な修正が加えられています)。
順番に確認していきましょう。

支払方法選択でアコーディオンUIが利用可能に

管理画面の支払方法設定にある、Stripeの項目にあるPaymentsセクションを見ると、新しく「Form layout」という項目が増えています。

Stripe連携-3.5.0-表示設定

今回のアップデートで追加された項目のひとつで、Stripeの公式ドキュメントでも触れられている通り、

  • 利用できる支払方法選択の表示方向

が選べるようになりました。

「Embed payment form into the native flow」の場合にのみ、

  • Horizontal - Tabs
  • Virtical - Accordion

のどちらかを選ぶことができます。

注文受付時の処理として「与信取得のみ」「与信売上同時」に加えて「注文受付のみ」が追加

本来、Adobe Commerce / Magento Open Sourceの決済連携には、

  • 与信取得のみ(Authorize only)
  • 与信売上同時(Authorize capture)
  • 注文(Order)

の3つのモードがあります。

決済サービス側の仕様に合わせて連携実装を調整することが通常で、色々と工夫をこらすことが多々あります。
今回のアップデートでは3番めのモードが追加されたことによって、注文受付後にゆっくりと与信取得処理ができるようになっています。
特に価格交渉のシーンが多いBtoBや発送までのリードタイムが長い予約販売品の場合には便利ではないでしょうか。

Raderスコアを管理画面の注文一覧に表示可能に

これまで注文詳細画面にしか表示されていなかった、Raderのスコアが注文一覧画面に表示できるようになりました。

Stripe連携-Raderスコア

今までは1件ずつ表示してからでなければリスク評価ができませんでしたが、3.5.0以降は注文一覧で簡単にリスクレベルを評価できます。
これは便利な改良ですね。

サブスクリプション関係

以下の内容はすべてサブスクリプション関係なので、ここでまとめて紹介したいと思います。

  • サブスクリプションの変更機能が追加
  • サブスクリプションの開始日指定や日割り計算機能が追加
  • キャンセルしたサブスクリプションを再開可能に

サブスクリプションの変更機能が追加

Stripe連携-サブスクリプション変更

これまでのAdobe Commerce / Magento Open Source用Stripeエクステンションでは、契約後にマイページからサブスクリプションの内容を変更することはできませんでした。
3.5.0からは以下の条件を満たす場合にのみ、サブスクリプションの変更が可能となっています。

  • Adobe Commerce / Magento Open Source側で「同一の商品」であること
  • 数量の変更であること
  • セット品やコンフィグ商品、カスタムオプションの構成変更であること

つまり、「価格の異なる別プランに変更は現時点では不可」ということになります。この点は注意が必要ですね。

サブスクリプションの開始日指定や日割り計算機能が追加

Stripe連携-サブスクリプション設定

これまでは「申し込み後即課金」のみでしたが、3.5.0からは以下の機能が追加になっています。

  • 課金日の指定(毎月1日に課金、など)
  • 課金サイクルの途中での契約開始に対する日割り計算課金

日割り計算をしない場合は、次の課金日まで課金は行われません。この点は注意が必要です。

キャンセルしたサブスクリプションを再開可能に

これも新機能です。
解約済みのサブスクリプションをいつでも再開できるようになりました。
操作自体は簡単で、マイページのサブスクリプション一覧から再開ボタンをクリックするだけで再開できます。

Stripe連携-サブスクリプション-再開

まとめ

今回のAdobe Commerce / Magento Open Source用Stripe公式エクステンションは、主にサブスクリプションとユーザーインターフェース周りの改良が行われたものでした。
このエクステンションは、

  • 小規模な改修・・・1〜2ヶ月ごと
  • 新機能追加・・・約6ヶ月ごと

というサイクルでリリースが行われています。
Stripe自体の新機能・サービス提供が活発に行われていることもあり、このエクステンションもしっかりとメンテナンスされています。
こまめにチェックしておくと良いでしょう。