Adobe CommerceでLiveSearchを試してみる
この記事は公開から 1年以上が経過しています。現在の最新情報との整合性については弊社では一切の責任を負いかねます。
現在のMagento Open Source / Adobe Commerceはどちらも検索エンジンとしてElasticsearchまたはOpenSearchを採用しています。
かつてはMySQLの全文検索機能や、Apache Solrを使用していた時期もありましたが、現在の2.4系からはElasticsearchまたはOpenSearchのみとなっています。
ElasticsearchとOpenSearchはそれ単体で非常に優れた全文検索エンジンとして知られていますが、適切なチューニングなしにはその性能を最大限発揮させることはできません。
Magento Open Source / Adobe Commerceの開発者の多くが西ヨーロッパ諸言語を母語としている関係もあり、特に日本語についてはなかなか良い検索結果を得ることが難しい状況です。
(より良い検索結果を得るための方法については、過去記事の「Magento2.3/2.4で日本語検索を良くするには」をご参照ください)
今回はそんななかでAdobe公式からリリースされた、Adobe Commerce専用のエクステンション「Adobe LiveSearch」についてご紹介したいと思います。
Adobe LiveSearchとは
Adobe LiveSearchは、Magento Open Sourceの有償版であるAdobe Commerce専用に提供されている「検索機能を強化するためのエクステンション」です。
セールスポイントとしては、
- Adobeの人工知能・機械学習エンジンである「Adobe Sensei」が利用できる。
- Adobe Senseiが自動学習・最適化を行うため、チューニングがいらない。
- Elasticsearch/OpenSearchを使用しないため、インフラのキャパシティを意識しなくても済む。
と行った点があげられます。
反面、2022年現在の人工知能・機械学習エンジンに共通する課題として、
- 教師データが少ない状況下では良好な結果が得られにくい。
という弱点や、
- 本番運用開始前に教師データの蓄積ができない。
- エンジンそのものの仕組みがブラックボックスであるため、独自に調整ができない。
といった課題も抱えています。
(予め理解しておけば重大な問題にはならないかもしれません)
Adobe LiveSearchを導入するには
Adobe LiveSearchを導入するには、以下の手順が必要です。
- Adobe Commerce用エクステンションをインストールする。
- Adobe Commerceの管理画面の案内に従って、設定を行う。
順番に説明していきましょう。
Adobe Commerce用エクステンションのインストール
Adobe Commerce用のLiveSearchエクステンションをインストールするには、以下の手順で行います。
- composer require magento/live-search を実行する
- php bin/magento module:enable Magento_LiveSearch Magento_LiveSearchAdapter Magento_LiveSearchMetrics Magento_LiveSearchStorefrontPopover Magento_LiveSearchTerms を実行する
- php bin/magento setup:upgrade と php bin/magento setup:static-content:deploy を実行する
- php bin/magento cache:flush を実行する
正しくインストールができると、Adobe Commerceの管理画面の
ストア>設定>サービス
に「Commerce Services Connector」という項目が以下のように追加されます。
APIキーの取得
エクステンションのインストールができたら、次は画面の案内に従って設定を行います。
先程の「Commerce Services Connector」設定画面にある「account.magento.com」へのリンクをクリックし、ログイン認証を済ませます。
次に、マイページにある「API Portal」にアクセスし、LiveとSandboxのAPIキーを発行し、Adobe Commerce側に設定します。
LiveSearchで検索をしてみる
ここまで準備ができたら、フロントエンドで検索をしてみましょう。
正しくインストールと設定ができていれば、次のように検索のサジェスト部分が標準よりもリッチになっているはずです。
LiveSearchがインストールされている環境の場合、ユーザーが行った検索行動はすべてAdobe Senseiに送信されて分析されます。
その結果は検索結果に順次反映されていくため、多くのユーザーが検索をすればするほど結果が適切なものへと最適化されていきます。
まとめ
今回はAdobe Commerceのライセンスを契約しているユーザーが無料で利用できる検索機能「Adobe LiveSearch」をご紹介しました。
この機能自体はまだ粗削りなところがありますが、標準の検索機能で満足できない方は導入の検討をされても良いかもしれません。
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