Adobe Commerce / Magento Open Source 2.4.4がリリースされました

Adobe CommerceとMagento Open Sourceの最新版である2.4.4がリリースされました。
本来であれば2022年3月にリリースされる予定でしたが、諸般の事情により1ヶ月遅れてのリリースとなっています。

1つ前の2.4.3がリリースされたのが2021年の8月11日なので、およそ8ヶ月ぶりのバージョンアップリリースということになります。

さて、今回のリリースはAdobe Commerce / Magento Open Sourceのユーザーにとって重要なものとなっています。
順番に見ていくことにしましょう。

影響の多そうな変更点

PHP8.1にようやく対応

2.4.4(Adobe CommerceもMagento Open Sourceもバージョン番号自体は同じなので基本省略します)では、PHP8.1への対応が追加されました。
かわりにPHP7.3の対応が外れたため、2.4.4の対応バージョンは、

  • PHP7.4
  • PHP8.1

のみとなります。
2.3.7より古いバージョンの環境からアップデートする場合、PHPの入れ替えも合わせて必要になるため注意が必要です。

なおPHP8.1で動かした場合については、本番環境に投入する前に以下の確認作業が必要です。

  • サードパーティ製のエクステンションやテーマのアップデートおよび動作検証
  • 独自カスタマイズした部分の動作検証・調整

弊社製エクステンションにつきましては、現在鋭意動作検証と調整を進めております。
対応が完了したものから順次リリースする予定となっております。

サードパーティ製エクステンションの同梱が終了

2.4.3-p1までは、

  • Amazon Pay
  • dotdigital
  • Klarna
  • Vertex
  • Yotpo

といったサードパーティ製のエクステンションが同梱されてきました。
もちろんこれらが同梱されていたことで、Adobe Commerce / Magento Open Sourceをセットアップすればすぐにサービスの利用ができた面もあります。ですが反面、これらの連携エクステンションが悪影響をするケースも少なからず存在しました。
同様にエクステンションベンダー側が更新版を出していても、同梱されているものはアップデートされないため、知らない利用者は更新版を利用できないという問題もありました。

2.4.4からはこれらが同梱されなくなったため、構築するサイトに合わせてインストールする形となりました。

メールテンプレートの形式が完全に変更

2.3.4で突然導入された、「メールテンプレートの仕様変更」に関して、2.4.4では旧形式のテンプレート利用が完全に廃止されました。
これまでは旧形式(2.0.0以降利用できたもの)もテンプレートの設定をデータベース上から変更することで利用できましたが、2.4.4ではこの設定が廃止されたため、2.3.4以降で許可された形式のみが利用可能となっています。

2.4.4以前のバージョンからアップデートしてくる際は、すべてのメールテンプレートの動作検証が必要になりますので、テスト作業に要する作業量を多めに確保しておくことをおすすめします。

APIにおけるBearer tokenの扱い

API連携時に使用する、「Bearer token認証」が利用できなくなりました。

2.4.4以降は「Tokenベース認証」のみがフロントエンド側のAPIとして利用できる形となります。
(管理画面やCLIでは継続して「Bearer token認証」が利用できます)

 詳細は Devdocs を参照してください。

パフォーマンス面の改善

Adobe Commerce / Magento Open Source 2.4.4では、以下の改修が行われたことによって、2.4.3以前よりもパフォーマンスが向上しています。

  • 非同期注文受付処理の導入
  • 「Enable Inventory Check On Cart Load」設定の追加による購入手続きの高速化
  • 非同期処理における「multiple_prcess」設定の追加による処理の効率化
  • PHP設定値の変更による、同時購入商品点数の増加
  • カート価格ルール処理の最適化に寄る性能の向上

これらの新しい機能・設定については、改めて解説したいと思います。

詳細はリリースノートを

毎回のことではありますが、Adobe Commerce / Magento Open Sourceのリリースノートは非常に長いものとなっています。
すべてをお伝えすることは難しいため、気になる方は公式Devdocsをご覧になることをおすすめします。

Adobe Commerce 2.4.4 リリースノート

Magento Open Source 2.4.4 リリースノート