Magentoはリリース当時から「重い」「遅い」「稼働させるサーバーに相応の性能が求められる」と言われてきました。
バージョンを重ねるにつれて、Magentoのコードは少しずつ見なおされ、初期バージョンと比較すると大幅に高速化されています。
(それでも遅いと感じる人は多いでしょうし、共用レンタルサーバーでは性能があまり得られません)

最近のPHPを使った開発

昨今のPHPにおける開発では、従来からあるPHPの実行環境とは別の、Facebookが主体となって開発している「HipHopVM(HHVM)」が実行環境として採用されることもあるようです。
一般的に通常のPHPに比べてHHVMを使った場合、両方の環境で動作する同じPHPプログラムであれば、HHVMのほうがより良好な性能を得られることがその理由にあるようです。

だれもがより高速に動作するアプリケーション・ウェブサイトを求めるのは当然のこととはいえ、HHVMに刺激されて、PHP本家コミュニティでも次期バージョンのPHP7でHHVMとよく似た仕組を取り入れることでPHP自体の高速化をはかろうとしているようです。

Magento1.xにおけるHHVM

現時点ではMagento社として、Magento1.xはHHVMに公式対応していません。
エクステンションベンダーの中には独自にテストを行い、そのエクステンション単位で動作検証ができているものも存在します。

ですが、Magento本体としては公式サポートしていないため、予想できない不具合やトラブルが起きることが予想されます。
開発者が興味本位の実験レベルで試すぶんには良いかもしれませんが、実際に稼働するサイトでHHVMを動作環境に選ぶのは、万一の際のトラブル対応を考えると、リスクの高い行為であると言えます。

Magento2におけるHHVM

さて、このエントリの主題でもある、Magento2におけるHHVMですが、こちらは開発チーム側から公式にサポートするというアナウンスがでています。

Magento2はHHVM3.6をサポート

現時点での発表ではHHVM3.6をサポートする、ということですので、試す方はHHVMのバージョンに注意してください。
HHVMとPHP7のどちらがより良好な性能を出すことができ、かつ現在のMagentoを取り巻く環境(エクステンションベンダーやソリューションベンダーの状況)に適合できるかが興味深いところですが、Magento2では現在のMagento1.xよりも良好なパフォーマンスが得られそうであることは間違いないでしょう。