Magento2.1がリリースされたのはちょうど2016年の6月末頃でした。
それから1年、いよいよ2.2のRC版(リリース候補版)がリリースされました。

Magento2.2で変わるところ

Magento2.2は、2.0と2.1で寄せられた数多くのフィードバックを実現した形でリリースされる予定になっています。

2.0で実装されていた機能で、様々な理由から2.1では一旦外されたものや、2.1で見つかった問題点などを改修し、より完成度・安定度を高めたのが2.2です。
もちろんそれだけではなく、新たな要素が幾つか追加されています。

Advanced Report機能の追加

Magentoのあまり強くない機能として、分析系の機能があります。
私個人としては、ECサイトを運用している環境の上で複雑な分析処理をすることはあまり同意しかねるのですが、サードパーティ製でも高機能版のレポート機能が提供されてきました。

Magento2.2では、Advanced Report機能が追加され、様々なレポートを表示させることができます。
また、Magento Business Intelligence Essentialsにシームレスに連携できるようになりました。
このサービスは有料サービスではありますが、年商300万ドル(日本円で約3億2千万円程度)までは月間100ドル(1万2千円程度)で利用できます。

上位版のMagento Business Intelligenceでは、さらに多くの外部データと連携することができるので、今までできなかった分析がMagento2.2からは低コストかつ簡単に導入できるようになることでしょう。

不正利用検知サービスとの連携

Signifyed社の不正利用検知サービスとの連携が実装される予定です(あくまで外部サービスなので、サービスの利用料は別途かかります)。
最近は決済代行サービス側が同じようなサービスを提供し始めているので、それらを使っても良いでしょう。

いずれにしてもMagentoとしてはECにおける不正利用にどう対処するかに本腰を入れ始めたという感じです。

BtoB版の提供開始

Enterprise Editionの派生版として、MagentoにもBtoB版が提供されることになっています。

BtoB向けらしく、取引先企業に対して複数名の担当者を設定・割り当てできる機能や、取引先別の価格設定といった専用の機能が拡充されています。

また、BtoB版の提供に合わせ、Magentoコアコード自体にも改良が加えられました。
一度に300点の商品を購入することができるようになる模様で、BtoCではあまり恩恵が薄いかもしれませんが、着実に改良は進んでいるようです。

動作環境の変更

2.2では以下のように動作環境に変更が行われる予定です。

  • PHP5.6はサポート対象外
  • PHP7.1がサポート対象に
  • Redis3.2がサポート対象に
  • Varnish3がサポート対象外になり、Varnish5がサポート対象に

2018年末でPHP5.6とPHP7.0のサポートが終了する予定であることを考えると、この変更は妥当だと思います。
PHP7.1とCentOS/RedHat Enterprise Linuxの相性問題については別途調査したいと思います。

その他の改良

Web Content Accessibility Guidelines 2.0への対応が強化され、より標準状態でアクセシビリティに配慮がなされています。
できればデザインカスタマイズ時にもこういったガイドラインを参考にした形でのカスタマイズが望ましいと思います。

他にもパフォーマンス改善によって体感的にも2.1より2.2のほうが動作は快適になっている印象を受けます。

正式リリースの予定

Magento2.2の正式リリースは2017年9月を予定しています。

現在RC1ですが、報告される不具合を順次改修し、品質を高める段階に入っています。
8月頃にはエクステンションベンダーが2.2に向けた互換性チェックを開始する段階に入る模様で、順次2.2対応のバージョンがリリースされることになると思われます。

弊社でも日本語化エクステンションの一部で2.2の仕様変更に関する問題が判明しておりますので、順次改修を進める予定にしております。