Magento2.1系と2.2系の最新版となる、2.1.15と2.2.6がリリースされました。
今回のアップデートはセキュリティFIXと不具合修正がメインとなっています。
とくに2.2系は150件以上に及ぶ改良が行われており、その多くがコミュニティからもたらされています。

完全なリリースノートは公式サイトを見ていただくとして、ここではMagento2.2.6の特筆すべき点について取り上げます。

パフォーマンス向上

カテゴリ商品インデックスの改良

商品点数とカテゴリ数の多いサイトの場合、カテゴリ検索インデックスの再構築には非常に長い時間がかかる場合がありました。
2.2.6ではこの処理が大幅に書き直され、これまでかかっていた時間を最大98%短縮できるようになりました。

商品画像リサイズ処理の改良

magentoコマンドから実行できる、catalog:image:resize処理の実行時間が最大90%短くなりました。
なお、2.2.5以前からアップデートする場合、アップデート完了後に以下の手順が必要になっているため、注意してください。

  • pub/media/catalog/product/cache ディレクトリの削除
  • bin/magento catalog:image:resize を実行し、新しいリサイズ後画像を作成

カタログ価格ルール適用処理の改良

カタログ価格ルールの適用処理が改良され、80%以上高速になりました。(もちろん、適用するルールの複雑さにもよります)

カタログ価格インデックスのマルチスレッド化

カタログ価格インデックスが価格のスコープ毎にマルチスレッド化され、価格を使用する様々な処理でより早く処理ができるようになりました。
この改良を有効にする場合は、app/etc/env.phpに、MAGE_INDEXER_THREADS_COUNT定数を定義する必要があります。

カテゴリと商品ページの読み込み速度向上

500種類以上の商品属性をともなうカテゴリや商品ページの表示が最大90%改善しました。
これらのページ速度が向上することで、より閲覧しやすいサイトになることは間違いなく、より良いUXを提供できるものと思われます。

TOPページの表示速度改善

多くのカテゴリをもつサイトのTOPページ表示速度が改善しました。これまではカテゴリ数が多いとパフォーマンス劣化を引き起こしていましたが、2.2.6でこの問題が修正されています。

レポート機能の無効化によるパフォーマンス向上

BIツールなどを使う事業者の場合、Magento標準のレポート機能はあまり意味をなしません。
これまでは明示的に無効化することができなかったこの機能ですが、2.2.6からは無効化できるようになりました。

チェックアウト画面の改良

  • 2.2.5まではチェックアウト画面を何度も再読込すると、突発的にMagentoがカートを空にしてしまう問題がありました。
    2.2.6ではこの問題が改修されています。
  • ゲストチェックアウト時に、画面を再読込しても、配送先住所欄に入力したデータが消えないようになりました。
    以前はカート情報の永続化機能を有効にしていなければ使用できませんでしたが、2.2.6からは標準状態で使用できます。
  • チェックアウト画面で、利用可能な配送方法の数に依存して、注文完了までにかかる時間が変動していた問題が改良されました。
    これまでは複数の配送方法が利用可能な場合、Magentoは20秒程度処理に時間を要していました。

その他の改良

  • コンフィグ商品の表示順で価格を選んだ場合、想定通りの順になっていなかった問題が修正されました。
  • 不安定な回線状況の際に、削除リクエストを重複して送信することがなくなりました。特に一括操作の際に意図しない操作が起きないようになっています。