Magento2をインストールする方法は、公式サイトからアーカイブをダウンロードする以外に2通り用意されています。

  • Githubからcloneあるいはzipダウンロードする(主にMagento2そのものの開発者向け)
  • composerを使ってインストールする(主にインテグレーター向け)

Githubを使う方法はMagento2そのものの開発に関わりたい方や、エクステンションやテーマの開発を行いたい方向けの方法です。
Magento2を使ったサイトの構築をしたい方には、あまりおすすめできません。

最も簡単と言われている「公式サイトからアーカイブをダウンロードしてインストールする」方法の場合、

  • Magento2のソース自体がかなり大きい
  • サンプルデータを含めると、ダウンロード自体にかなり時間を要する

という課題があります。
とくにファイル転送ツールを使ってサーバーにファイルをアップロードしようとすると、絶望的なまでに時間がかかります。

そこで今回はMagento2の標準パッケージマネージャーであるcomposerを使って、Magento2をインストールする方法をご紹介します。

composerを使ってインストールするメリットとデメリット

composerを使ってインストールするメリットには以下のようなものがあります。

  • 最新版のMagentoのソースと関連ライブラリをもれなく手に入れることができる
  • サイト全体がcomposerによって管理されるようになるため、アップデートも容易になる
  • Magentoを動かすサーバー上で直接インストールする場合、ファイルをダウンロード・アップロードする手間がない

反対にデメリットとしては、

  • composerを使うためにはコマンドラインでの操作が必要になる
  • 低スペックのサーバーの場合、ファイルをダウンロード・アップロードするよりも時間がかかることがある
  • 低スペックのサーバーの場合、composerの使用するメモリが多すぎて実行できない
  • そもそもコマンドライン操作のできないサーバーには使えない

というものがあります。

composerを使ってインストールするためには、

  • インストールする先のサーバーにSSHでアクセスができること
  • composerが使用できること
  • 作業をする人がSSH越しの作業に慣れていること

が必要です。

インストール作業をする前に

composerを使ったインストールを行う前に、以下の準備が必要です。

  • composerが入っていない場合はcomposer自体のインストール
  • Magento公式サイトのアカウント

前者はcomposerの公式サイトなどに載っている方法でインストールをしておきます。
問題は後者です。

Magento公式サイトのアカウント取得とアクセスキーの発行

composerを使用したインストールにはMagento公式サイトのアカウントが必要です。
もちろんMagento2を用いたサイト構築を行う場合、エクステンションのインストールやアップデートには公式サイトのアカウントが不可欠です。
Magentoを使い続けていくのであれば、Magento Marketplaceのアクセスキーも合わせて取得しましょう。

Magento公式サイトのアカウント取得は特に難しいことはありません。普通に会員登録すればOKです。
アクセスキーの発行は、アカウント登録後にMagento公式サイトにログインし、マイページのMarketplaceから行います。

マイアカウント

赤枠で囲っている「My Access Keys」をクリックすると、次の画面が開きます。

マイアクセスキー

画面の例では既にアクセスキーを発行済みですが、未発行の場合は「Name」に適当な名前をつけて、「Generate New」をクリックします。
そうするとアクセスキーが発行されるので、Public KeyとPrivate Keyをメモしておいてください。

composerでインストールをする

それではいよいよcomposerでインストールを行います。
Magento2を配置したいディレクトリに移動し、以下のコマンドを実行します。

php composer.phar create-project --repository-url=https://repo.magento.com/ magento/project-community-edition <Magento2をインストールしたいディレクトリ>

初めての場合はcomposerがユーザー名とパスワードを要求してきます。
さきほど取得したPublic Keyをユーザー名に、Private Keyをパスワードとして入力してください。

Do you want to store credentials for repo.magento.com in /<ホームディレクトリ>/.composer/auth.json ? [Yn]

と訪ねてきますので、yをタイプして続けます。
認証が正しく行われると、Magento2を構成するパッケージをダウンロードしはじめるので、終わるまで静かに待ちます。

composerによる処理

全てのパッケージがダウンロードできると、Magentoをインストールできるようになります。
(要はcomposerでサーバー上にファイルを配置しているだけに過ぎません)

あとはブラウザ経由でインストールしてもよいですし、以下のようにインストールコマンドでインストールしても良いでしょう。

php bin/magento setup:install --cleanup-database \
--db-host=localhost \
--db-name=magento \
--db-user=magento \
--db-password=password \
--backend-frontname=admin \
--base-url=http://サーバーのIPやドメイン名/ \
--language=ja_JP \
--timezone=Asia/Tokyo \
--currency=JPY \
--admin-lastname=Admin \
--admin-firstname=Admin \
--admin-email=admin@example.com \
--admin-user=admin \
--admin-password=admin123 \
--use-secure=0 \
--use-rewrites=1

まとめ

  • Magento2は、公式サイトからのアーカイブ以外に、Githubとcomposer経由でインストールができる。
  • GithubはMagento2そのものやエクステンション開発がしたい人向け
  • composer経由はインテグレーター向け。
  • composer経由の場合は、Magento公式サイトのアクセスキーが必要になる。
  • composer経由の場合は、ファイル転送の手間が1つ減る。
  • ただし、SSH越しの操作ができることが前提