約5年の歳月を掛け、何度かの方針・設計変更と膨大な人でを費やして、Magentoの新しいメジャーバージョン・Magento2がリリースされました
これまで弊社ではMagento2をウオッチしてきましたが、いよいよこれからMagento2に関連したサービスをご提供していくことができそうです。

Magento2とは

Magento2は、Magentoのバージョン採番ルールに従うと、「過去バージョンとの互換性のない、アーキテクチャレベルで異なるバージョンアップ」を意味します。
これまでMagentoは「1.9.2.2」や「1.8.0.0」というように、先頭の数字は常に1でした。
これは同じMagento1.xの中でのバージョンアップを意味し、概ねアーキテクチャレベルでの互換性は保たれてきました。

Magento2は、Magento1.xが切り開いた「オープンソース・エンタープライズEコマースプラットフォーム」のポジションを更に強固なものにし、さらなる進化を続けるために設計・開発された、全く新しい次世代のMagentoです。

何が変わったのか

Magento1.0がリリースされたのが2008年3月末のことですから、Magento1.xは既に7年半以上経過したプラットフォームということになります。
この間、Webアプリケーションを取り巻く技術的なトレンドは大きく変化し、リリース当初は目新しい機構を備えていたMagento1.xも今では特段珍しいアプリケーションではなくなりました。

Magento2は、最新の技術トレンドをベースとし、「より安定性が高く」「よりカスタマイズしやすく」「より大規模なサイトの運用にも耐え」「より強固なセキュリティ性を備える」プラットフォームとして開発されています。

対応するPHPやMySQLのバージョンが変更になっただけでなく、パッケージマネージャにPEARではなくcomposerを採用しています。
フレームワークレベルでも全面的に書きなおされ、今まで以上にエクステンションの競合によるトラブルを回避しつつ、柔軟なカスタマイズができるように設計されています。

また、JavaScriptがこれまで以上に重要な位置を占めるようになり、細かな画面構成要素の表示がAjaxを用いてサーバーからデータ取得・描画されるようになっています。同様に、大規模なサイト構築に欧米ではよく用いられている「Varnish」に標準対応するなど、1.xよりも高いパフォーマンスが得られるようになっています。

Magento1.xからの移行は?

Magento公式のアナウンスでは、顧客データや注文データといったECサイトにとって最も重要なデータについては、Magento1.xからMagento2へ移行することができるようになっています。
これはMagento2とは別立てで開発されている、移行ツールを用いることで実現されています。
ただし、このツールが対象にしているのはMagento標準のデータベーステーブルとデータ・モデルです。エクステンションが独自に拡張した箇所についてはサポートの範囲外になり、エクステンション単位での対応が求められます。 

既存のエクステンションやテーマはどうなる?

原則既存のエクステンションやテーマは開発ベンダーによる対応待ちとなります。
全て再実装する必要があるため、リリース当初は対応エクステンションも少ない状態が暫くは続くと思われますが、すぐに多くのエクステンションがMagneto2対応になっていくものと思われます。

ただし、SUPEE-6788対応の際も一部で問題になっていたのですが、エクステンションによっては開発者がメンテナンスを放棄しているものがあります。
このようなエクステンションは、どんなに優れているものであっても、Magento2に対応することはありません。
(あるいは1.xの更新を停止してMagento2に対応する作業を進めている可能性はありえますが、あくまで推測に過ぎません)

もっと詳しいことが知りたい方は

Magento2の公式リリース後、最も早く開催されるのは、11月20日の「Meet Magento 2015 Japan」です。
公式のエヴァンジェリスト・Ben Marks氏の来日講演も予定されていますので、最新の情報をキャッチアップしたい方は、Meet Magento 2015 Japanのサイトからお申し込みください。