Magento2とは

Magento.incは来年末のリリースを目指し、新バージョンのMagento2の開発を進めています。 
Magentoのバージョン番号の付け方は、

1・・・メジャーバージョン

6・・・バージョン

1・・・マイナーバージョン

0 ・・・バグフィックスリビジョン

というような管理になっており、Magento2は2008年3月の公式リリース以來、最大規模のメジャーバージョンアップとなります。

予定されている変更

Mangento.incの発表によると、

  • PHP5.3への対応
  • prototype.jsを廃止し、jQueryへの移行
  • ユニットテストスイートの装備
  • グラフィカルレイアウトエディタ機能の搭載
  • フォールバック機構の改良
  • パフォーマンス改善(Magneto1.x比で20%前後改善)
  • モジュール構造の一部変更
  • ドキュメントの拡充・整備

などが予定されており、すでに一部は実装済みとなっています。
なかでもjQueryの採用やグラフィカルレイアウトエディタの搭載によって、以前よりもデザインの修正やリッチなJavaScriptによる実装が用意になると予想されています。

フォールバック機構の改良

Magentoのテンプレートにはフォールバックという仕組みが搭載されています。
この機能は「今使用しているテンプレートに存在しないファイルがあれば、標準テンプレートにさかのぼってファイルを使用する」という機能です。この機能があるおかげで、Magentoではテンプレートカスタマイズ時に、標準であるbase/defaultのテンプレートをそのままカスタマイズするのではなく、必要部分のみをコピーしてカスタマイズするだけで済みます。そのためどこをカスタマイズしたかがわかりやすくなっています。

しかしながら、この機能はMagento1では3段階までしかフォールバックをサポートしておらず、不便が一部ありました。
Magento2ではこの点が改良され、無制限にフォールバックをさせることができます。 

ユニットテストスイートの装備

Magentoはその複雑な構造のために、ユニットテストがやりにくい構造になっていました。
ユニットテストはアプリケーションの品質を保つ上で非常に重要な仕組みです。なぜなら、過去に作成したテストケースを人間の気まぐれを排除して実行できるからです。すべてのテストケースをパスすることで一定の品質を確保し続けられる機構が用意されることはエクステンション開発者にとっても有益なことです。これによってより高品質なエクステンションが開発されるようになり、Magento本体もより高品質になっていくものと思われます。

モジュール構造の一部変更

現行のMagentoのモジュール構造ではプログラムファイルとテンプレート、画像やCSS/JSファイルといったリソースが1箇所にまとまっておらず、開発時のみならず配布時にも手間を要する構造になっていました。

Magento2ではこれらは1つのディレクトリに集約されることになっており、管理がしやすくなっています。
また、モジュールの標準テンプレートはモジュールのディレクトリに含まれるようになるため、起点になるテンプレートがどこにあるのかを把握しやすくなっています。

この変更で既存のMagento Connectで公開されているエクステンションは一旦互換性を失いますが、大規模な変更ではなく、ディレクトリの移設がメインなので、比較的短期間に対応バージョンがリリースされるものと思われます。

パフォーマンス改善

Magentoは今でもやはり「重い」アプリケーションです。
ソースコードの量もありますが、設定データの読み出しやクラスの読み込みなどのオーバーヘッドは無視できない量になっています。
Magento2では様々な処理系に改良が加えられ、対Magento1比で20%の高速化がすでに成し遂げられています。

ドキュメントの拡充

Magento2向けにMagento.incの開発者達によって、各種ドキュメントが整備されつつあります。
いままではコミュニティのWikiベースでしたが、Magento2ではオフィシャルのドキュメントが拡充され、より正確な情報を得られるようになります。これによりカスタマイズやエクステンション開発時に悩むことが少なくなり、より効率的に作業が進められるようになります。