前回のエントリではMagentoをバージョンアップするための準備作業について説明しました。
今回はテスト環境での検証作業について説明します。

テスト環境でバージョンアップの実施

準備しておいたテスト環境でバージョンアップを行います。
この環境は壊れてもいい環境なので、必要であれば何度でも作業に慣れるまでトライしても良いでしょう。 

Magentoのソースコードを更新する

最初にMagentoのソースコードをバージョンアップ対象のバージョンに更新します。
やり方は非常に簡単です。

  • ダウンロードしてきたMagentoのソースコードをそのままテスト環境にアップロードする
  • パーミッションがアップロードした際に変わっているようなら正しい形に直す
  • Magentoのキャッシュを削除・更新する

とにかく、新しいコードに置き換えてしまえば、Magentoは次のアクセスの際にアップデート処理を行います。

なお、この時Magento Community Edition 1.4.1.0とMagneto Enterprise Edition 1.9.0.0 以前からのアップデートについては、時間がかかることがあります。
これは、注文データを保存しているテーブルの定義がこれらのバージョン以前と以後で変更になったため、その変更を反映するための処理が実行されるからです。
そのため、注文履歴データが非常に多い場合、アップデート処理に時間がかかることがあります。 

エクステンションの更新をする

アップデートが完了したら、次はエクステンションの更新を行います。
この時「Magentoの商用エクステンションにおけるライセンス」で解説したとおり、利用している商用エクステンションによっては、追加ライセンス(テスト環境用)や、サポート期限切れによる新規ライセンスの購入が必要になることがあります。

無償エクステンションについては配布元からダウンロードするか、Magento Connect経由で入手してアップデートします。 

サイト固有の修正作業をする

カスタマイズ箇所の修正をする

すべてのエクステンションがアップデートできたら、最後にカスタマイズ箇所の修正を行います。
 最もカスタマイズされると思われるのはデザイン周りですが、古いバージョンのテーマ(特にテンプレート)は新しいバージョンでは構成が変わっていることがあるので、修正が必要になることが多く見受けられます。
この場合、とりえる選択肢は2つです。

  • 商用・サードパーティ製のテーマの場合は最新に更新したうえで必要な箇所に修正を行う
  • 標準テーマベースの場合は、今まで使っていたオリジナルテーマとの間の差分をとって、必要な箇所に修正を行う

いずれにしても修正作業は必要なのですが、よく見受けられるのは以下のようなパターンがあります。

  • 標準テーマに手を入れてしまい、バージョンアップで上書きされてしまった。何が正しいのかわからない
  • つぎはぎの修正をしてきたので何が正しいのかわからない
  • この機会にデザインを一新したい

基本的に、Magentoのコアファイルや、標準テーマに手を入れることは推奨されていません。
ですが、正しいカスタマイズ方法を知らない場合、コアファイルや標準テーマに手を入れてしまうことが多く見受けられます。
その場合、バージョンアップ時に上書きされてしまい、どこに手を入れていたかわからなくなってしまう場合があります。
過去の修正履歴が残っていない場合も同様です。

最後のデザインを一新したい場合は、単純に作業量が増えるのですが、選択肢としてはアリです。

不具合が出たときは

バージョンアップ実施時にはとにかく不具合が出やすくなります。
それがテーマに起因するものなのか、エクステンション同士の競合によるものなのか、あるいはMagento本体の仕様変更に寄るものなのかは、よく調査しなければ原因がわからないことが大半です。

ですが、そうした壁を乗り越えなければバージョンアップはできません。
それでもMagentoのバージョンアップはサイト構築時から正しい手順にそって構築されていれば、かなり容易にできる部類に入ると思います。